写真家ポール・グラハムによる、フィルムへの賛辞。20世紀の偉大な発明、光を写すという夢を現実にした魔法のメディア、フィルム。たった1世紀ののち、まさに今消え行くメディアの代名詞でもあるわけだけど、グラハムはその存在の不思議さに、ワクワクする秘密に今一度寄ろうとする。
自身の過去の作品のネガ、また何も写さなかった最後のコマをスキャンし、それらを超拡大すると、見たことのないアブストラクトな景色が浮かんでくる。過去の作品のアプロプリエーションでありながら、自身の「ネガによる回顧(Negative Retrospective)」でもあるわけです。(カッコいい)
彼自身によるデザインも潔い。余白がなく、それ以外に目に入らない本の作りが、作品に没入させてくれる。全面グロス加工によるピカピカつるつるの手触りも、フィルムのテクスチャーを想起させる。
MACKの公式解説曰く、
「希望に満ちたオマージュであり、別れの言葉でもあり、驚きに満ちた視覚体験でもあり。『Film』は、20世紀の写真メディアに関わる全ての方のために送られる本である」
"Part wistful homage, part farewell, part visual wonder, Films is a book for anyone who engaged with photographic material in the 20th century."
こんなこと言われたら、欲しくなっちゃいますね。
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