アレック・ソスによる「世捨てマニュアル」。
変わったタイトルの通り、本当に夜逃げした人をリサーチして制作されている。
身の隠し方、変装の方法、ログハウスの作り方、サバイブの仕方。
「ステップ7:女を避けろ/世を捨てるのならばあきらめなければならないこともある。答えは単純だ、女を諦めろ」
などハードボイルドなテキストも収録。
テキストのイラストレーションとして機能する写真と、逃亡者の肖像や風景写真がランダムに構成されている。全体のベースになっているのはソスの圧倒的に上手な、アメリカの伝統的な写真。その意味で、<マニュアル>だけど、実は問答無用で厳然たる<写真集>で、そこもジョークなの?と思わせるくらいの余裕が感じられる。ほどに、写真が上手。
この写真は世界中で高い評価を得て、スペシャルエディションもすぐに完売、廉価版の写真集も絶版になった。しみじみ思うけれど、このような不思議な写真集が讃えられ、求められ、語られ、伝説になるなんて、つくづく奇妙で楽しい世界ですよね。
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